「自分の人生を勝ち取ってきた女性が、政治の世界で直面する状況が見どころ」映画『大統領の料理人』カトリーヌ・フロインタビュー

映画『大統領の料理人』(9月7日公開)は、1980年代にフランス大統領官邸史上初の女性料理人となり、ミッテラン大統領のプライベートシェフとして、2年間働いた女性の実話を元にしたストーリー。
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STORY

片田舎で小さなレストランを営むオルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)がスカウトを受け、連れてこられた新しい勤務先はエリゼ宮。フランス大統領官邸のプライベートキッチンだった。堅苦しいメニューと規律に縛られた食事スタイル、嫉妬渦巻く宮廷料理人たちの中で、彼女が作り出すのは「美味しい」の本当の意味を追求した料理の数々。当初、値踏みをするような目で遠巻きに眺めていた同僚たちも、いつしか彼女の料理の腕と情熱に刺激され、官邸の厨房には少しずつ新しい風が吹きはじめる。やがて、大統領のお皿に食べ残しがなくなってきたある日、彼女に直接声をかけてきたミッテラン大統領の口から意外な話が飛び出すーー。


主人公オルタンスのモデルとなったダニエル・デルプシュは、自宅で小さなレストランを経営する傍ら、フランスの伝統ある郷土料理を教える学校を設立。大統領のシェフを務めたあとは、南極調査隊のシェフとして南極にも赴き、さらにその後、フォアグラ用のガチョウの飼育に適した場所を見つけるために、ニュージーランドで仕事を始めるなど、世界中でフランス料理、食材の普及に努めた人物です。
この映画で主人公オルタンス・ラボリを演じたカトリーヌ・フロのインタビューが届きました!
Q:あなたが演じた役のモデルとなった、ダニエル・デルプシュはどんな人物?
A:
ダニエル・デルプシュのことを、私たちはよく知っているわけではありません。彼女自身というより、彼女の物語が有名なのです。エリゼ宮で料理をするということは、彼女にとって予想外の出来事だったでしょう。たとえ彼女がすでに素晴しい経歴を持っていたとしてもね。彼女はアメリカや日本へ行き、研修を受け、フォアグラについて学びました。彼女は野心的で、エネルギッシュで、アイデアにあふれた女性。かなり模範的な形で、自分の人生を勝ち取ってきた人です。面白いのは、そんな彼女がエリゼ宮で直面する状況。様々な人物、男性たちに囲まれ、誰のために働くのかもよく分からない。これらがこの物語の面白いところだと思います。そこの人々は言うことと実際にやることが、必ずしも一致しません。それは政治の世界であり、多くの仲介者が存在する世界ですから。それでも彼女は、力強く頑張る、かなり自由な人物です。ちょっとした反逆者であるとも言えますね。勇気があり、恐れを知らない人です。
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Q:ダニエル・デルプシュという実在の人物を演じた感想は?
A:
実在の人物を演じるというのは、曖昧なものです。ダニエル・デルプシュは強い個性を持つ人物で、私たちが語っているのは彼女のほんの1部分。台本は彼女の実体験と比べて多少、小説に近い形で書かれているでしょう。だから本当の彼女を表現している部分がたくさんあると同時に、そうでないものもたくさんあるのです。その選別をしなければなりませんでした。
Q:ダニエル・デルプシュ本人の家で撮影を行ったのは効果があった?
A:
彼女の近くで演じるのは困惑します。私は彼女であると同時に彼女ではないし、実在する彼女がいるけれど、彼女から解放されようとする私もいます。演じるとき、私はその人物の性格の指針となるものを身につけて彼女を自分のものにします。これは錬金術のようなもので、この段階で、私は自分自身に近づこうとしているともいえますね。今回の撮影が特別だったのは、彼女がそこに存在しているということ。でも、撮影が進めば進むほど、私は彼女がいることを忘れていました。
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Q:撮影は、世界の果てとも言える場所(南極)から始まったんですね?
A:
映画もここから始まるんです。大変だったのは、後で起こる出来事、つまり4年後の出来事を先に撮影すること。彼女が世界の果てに来たのは、何かを流し去るという目的もあったのかもしれません。そう単純でない何かを流し去るためにね。エリゼ宮で多くの感動や出会いなどがあったことを思い返したとしても、ここは、ある意味、自分自身を洗い流せる場所だと思います。この土地を見て、彼女はそれまでに経験したことを洗い流すのです。
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Q:ダニエル・デルプエシュと彼女が世界の果てで経験した特別な出来事について話しあった?
A:
ええ、少しだけ。その出来事は彼女にとって鎮静剤となったのだと感じました。そうした出来事が鎮静剤になるような生き方をするのは、気骨のある人物だと思います。なぜなら、それは厳しい生活ですから。丸1年も過ごすなんて、大変なことです。でも人生には、時には、自分自身のことだけを考えるために、誰にも頼らず、何も無いところでひとりきりになることが必要だし、意味があることだと思います。この映画は、そのことも語っているんです。
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大統領の料理人』
9月7日(土) シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開!
配給:ギャガ
公式サイト

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