ダライ・ラマ14世が私たちに伝えたい2つのこと

先日の記者会見で、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と都内で会談した長島昭久首相補佐官が、藤村修官房長官から注意を受けたことが判明しました。
ダライ・ラマ14世は、政治的行動、および政府関係者との接触はしないことが通例となっているそう。
このニュースを知って、若干違和感を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私もその1人なのですが、それは7日に行われた自由報道協会によるダライ・ラマ14世の記者会見に出席したからです。
記者との質疑応答も行われましたが、ダライ・ラマ14世はご自身がお伝えになりたいことを、冒頭で明確にお話しくださいました。
記者会見は生中継で配信されていたので、ご覧になった方も多いと思います。
ですので、2つのことをなるべくご本人のお言葉のままで。
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▲実は個人的に一番会いたい(見てみたい)方だったので、意気込んで出席いたしました!
予定の10時から約1時間遅れて、猊下が到着!!
エレベーターホールから張りのある声が聞こえてきて、ワタクシの興奮度は100%に★
ついに、登場!!!


そして会見がスタートしたのですが、あまりにもすごい高速シャッター音で声が聞こえづらいほど!
まずは、今回の訪日の目的について。

「高野山における法話も行ないましたし、もう一つの大きな目的といたしまして地震、津波に遭われた被災地を訪問し、被災地の皆様と悲しみを共有したいと思いました。そこで、皆様と私の考えを共有させていただき、これから前を向いて歩きましょうという話もさせていただきました。そして、今こそ街を復興していくべきではないかという話をさせていただきました」

そして、2つのこととはーー。

「こうしてメディアのみなさんにお目にかかる際、2つについてお話ししています。特に私が大切だと思っていることなのですが、まずひとつはヒューマン・バリュー、人間の価値ということです。我々はこのところさまざまな問題に直面しています。それは私たちが自分で作りだした物でもあると言えるわけです。できるだけ軽減するのはどうしたらいいかということです。そのためには、自己規律、責任を持つこと、そして他を思いやるということです」
「やはり、私たちは謙遜の心を持ち、そのためには慈悲の心を持ち、愛情を持っていることが大切だと思います。そしてまた、他人のために尽くすという意志の力も大切だと思っております。これは単に宗教的な物から起こることだけではなく、人間の本質としてあります。私たちには生まれたとき、そこには愛があります。確かに宗教はその力を強めてくれますが、宗教がないところであっても、倫理としてあると思います」
「まずは人間の価値ということです。これはどういう宗教であろうと、どんな人であっても、私たちは社会的動物としてこの世に存在しています。そのためには、慈悲の心を持った家族を作り、社会を作っていくことが大切だと考えています」

この間、約10分間ほどカメラのフラッシュがバシバシたかれていました。
そこで、同席した周囲の方にも気を遣われ「Okay? Very strong」と猊下。
あまりにすごいフラッシュについて「I want to have a human rights」と素敵なジョークを。
その後、とっても楽しそうに笑ってらっしゃいました。
もう1つ大切なのは、宗教間における調和だそう。
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「私は仏教徒として、宗教人として、宗教間における調和を大きなテーマとしています。どのような宗教であっても、調和が必要です。宗教が原因となって行われている様々な対立を目にすることがあります。同じ宗教であっても様々な対立が起こっています」
「なぜ2つの話(人間における価値、宗教における調和)をするかというと、メディアの方々は大きな役割を担っています。多くの方の認識が大切だからです。現代社会においてこれらの価値というものがいかに大切なことかということを広めていただきたい。いろんな個人、地域などいろいろなレベルで大切なことを広めていただきたいと思います」
「民主主義の社会で、メディアの方々は大切な役割を担ってらっしゃるからです。皆さんはゾウのように長い鼻を持って、前から後ろから匂いをかいでください。私もそうですが、現実がどういう物なのかをしっかりと認識して、それを一般の方々にお伝えいただきたい。そういうことがとても大切だと思います。そして、現代社会、我々の中にある腐敗をできるだけ排除、あるいは軽減していくために貢献されるべきではないかと思います。そのためには、バイアスがかからない目で報道していただくことが大切です」
「今年3月から、公的にも政治的な指導者の立場を降りて、選挙で選ばれた人にその主権を渡すことにしました。ですから、私は政治的な役割をまったく持っておりませんので、普通の人であります。だからといって、ダライ・ラマをやめたわけではあらず、いまだにダライ・ラマであります。ただ、過去を振り返りますと、ダライ・ラマ1世から4世においては、宗教的な指導者であって政治的な指導者の役割は一切果たしておりませんでした。ダライ・ラマ5世から現在にいたるまでは政治的、宗教的に両方の役割を負うことになったわけですが、しかし私は過去400年において政治的、宗教的の両方を果たすという役割の中で、政治的な責任を降りると委譲するということを、喜んで自らの意志として行うことを決めたわけです。私は、日本もそうですが、民主主義というものは素晴らしいと思っています。そして、真の意味での民主主義というものを作りあげていきたいと考えています。それから、日本においては過去に、素晴らしい伝統があったという風に伺っております。もちろん、今もあるのでしょうが。たとえば年長者を敬うという気持ちがありました。電車などに乗っているときも年長者を立てて、年長者がたっていれば、お年寄りの人がいれば、どうぞ、と席を譲ることもあったという話です。最近はどうもその意識は薄らいでいるようですが。そういう良い伝統というのは、是非ともまた思い出していただきたい。そういったことも含めて、今後は真の民主主義をこれからますます進めていきたいと思っています」

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▲車で会場を後にする際、窓を開けてくださいました!
余談ですが、スティーヴン・タイラーは猊下と一緒に瞑想をしたことがあるそうです。
スティーヴンがうらやましい!

(Miwa)

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