- 2026-6-4
- ENTERTAINMENT
- GOOD BOY/グッド・ボーイ
7/10(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国順次公開される『GOOD BOY/グッド・ボーイ』。

予告が公開されるや否やSNSで話題沸騰となった本作は、犬の視点から描かれた斬新なホラー作品。2025年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)でプレミア上映され、最優秀犬演技賞を受賞した。
当初限定公開のはずが急遽1650スクリーンに拡大公開され、Rotten Tomatoesでは90%の評価を獲得。「2025年最も心を打つホラー映画の一つ」と称され、全米2週連続トップ10入りを果たした。2026年のアストラ映画賞「ホラーまたはスリラー作品部門」で『28年後…』のアルフィー・ウィリアムズ、『ブラックフォン2』のイーサン・ホーク、『トゥギャザー』のアリソン・ブリーといった錚々たる面々らを退け、本作主演のインディ(犬)が動物俳優として最優秀演技賞を受賞する歴史的快挙を達成した。
(*Rotten Tomatoes 点数は2026/4/1時点)
この度、監督とプロデューサーのインタビューが到着した。
【監督:ベン・レオンバーグ&プロデューサー:カリ・フィッシャー インタビュー】
Q. 『GOOD BOY/グッド・ボーイ』の最初のインスピレーションは何だったのでしょうか?
ベン:そうですね、たぶん何百万回目かに『ポルターガイスト』を観たあとだったと思います。覚えている方もいると思いますが、あの映画はゴールデン・レトリバーが家の中をうろつくところから始まりますよね。人間たちよりも先に、犬が明らかに“何か”超自然的な存在を察知している。それと組み合わさったのが、たぶんすべての犬の飼い主が一度は経験したことのある、すごく身近な不安です。たとえば「どうして真夜中に犬が突然吠え出すんだろう?」とか、「なぜ何もないところをじっと見つめているんだろう?」とか。それが、物語全体を膨らませていくための“核”になりました。そこから脚本やストーリーとしてどう機能させるかを見つけるまでには、かなり時間がかかりましたが、出発点はそこでした。

Q.ある程度もう答えている気もしますが、特に「犬の視点から見たお化け屋敷」というアイデアは、どのように生まれたのですか?
ベン:そうですね。いわゆる“お化け屋敷”という設定については、映画の冒頭で、観客が「これ、前にも見たことがあるぞ」という既視感を持つようにしたかったんです。つまり、典型的な幽霊屋敷ものの導入ですね。古くて不気味な家で、長い間誰も住んでいない。そして、「あれ? 犬が何もないところを見つめている」「地下室に入ろうとしない」――そういうお決まりの状況です。でもそこから先は、犬ならではの、とても“犬的”な展開やひねりが加わっていきます。最初に見えていたものが、必ずしもその通りではない、という方向に進んでいくんです。
Q.現場でインディと一緒に作業するプロセスについて教えてください。
カリ:インディと一緒に仕事をするのは、とにかく楽しかったです。というのも、彼は私たちの犬なので、毎日一緒に遊んでいるような感覚でしたし、彼自身も楽しんでいたと思います。とても賢い犬で、仕事を与えられるのが好きですし、刺激を受けるのも大好きなんです。ただ、映画作りには本当に膨大な忍耐が必要でした。制作において、時間こそが最大の資源でしたね。毎日が「今日は彼に何ができるか」「何ができないか」を見極めて、それに合わせて問題解決をしていく作業でした。でも本当に楽しかったですし、結果的にとてもうまくいったと思います。
ベン:小さな家族プロジェクトでしたね。3年にわたって、合計400日くらい、ほとんどの時間を僕たち3人だけで、インディを中心にどうやって映画を作るか考え続けていました。
Q.この映画は完全に犬の視点から語られていますが、この創造的な選択は、映像スタイルや物語全体にどのような影響を与えましたか?
ベン:僕たちは、インディを唯一の視点人物として完全に受け入れました。その利点も制約も含めてです。そこには実務的な面も、創造的な面も両方あります。創造的には、ホラーという非常に古いジャンルの中で、これはとても面白い語り方でした。新鮮なアプローチですよね。犬の視点、つまり地面から数十センチの高さから世界を見ることで、床板のきしむ音や、奇妙な音を確かめに行く場面など、見慣れたものがまったく違って見えてきます。実務的なメリットも大きかったです。限られたリソース、つまり僕たち二人だけで映画を作ることができたのは、この視点のおかげでした。カメラが低い位置にあるので、人間の体は自然と不自然にトリミングされ、頭や顔はほとんど画面に映らない。だから、僕とカリが人間役として画面に立ち、あとから声優が声を当てることができました。これは、ジェームズ・アール・ジョーンズが『スター・ウォーズ』でダース・ベイダーの声を作り上げたのと少し似ています。さらに、撮影中に実際にインディと一緒にいられたことで、カメラが回っている間に彼をトレーニングしたり、導いたりできましたし、本物の愛情が生まれる瞬間も捉えられました。朝、僕がベッドから起きると、彼が脚の間をくぐって、すごく幸せそうな顔で寄ってくる。そういう本物の関係性を撮影できたんです。だから画面上では、トッドとインディが本当に愛し合っているように見える。それは実際に、僕とインディだからなんです。

Q.最初からインディを主役に起用するつもりだったのですか?
ベン:いいえ。最初は訓練された俳優犬を使うつもりでした。アイデアを練り始めた頃、インディはまだ1歳を少し過ぎたくらいで、僕自身も脚本をどうまとめるか模索している段階でした。そこで、小さなテスト映像、いわばコンセプト実証用の短編を作り始めたんです。ホラー映画の基本――ショット/リバースショット、新しい空間に入る、音を聞いて固まる、主観ショットに切り替える――そういうことをどう犬でやるかを試しました。人間なら簡単なことでも、「自分が映画に出ている」と理解していない犬相手だととても難しい。でも、その短編が実験からデモへと発展し、最終的に映画本編に入った恐怖演出やシークエンスの原型になりました。そのうちの一本が短編映画コンテストで受賞し、インディは主演男優賞にノミネートされたんです。その時点で、彼と一緒に作る新しいやり方を完全に身につけていましたし、人々の反応がとても良かった。それが、インディを主役にする決定打になりました。
カリ:しかもそれは「犬部門の主演男優賞」ではなく、人間も含めた中での賞でした。それが私たちにとって、とても大きな意味を持ちました。
Q.人間キャラクターのキャスティングについて教えてください。現場ではご自身が演じていたとのことですが、後から起用した声優については?
ベン:本当にユニークな挑戦でした。優れた俳優であることはもちろんですが、その声が僕たちの体から出ているように聞こえなければならない。僕は特に画面に出ることが多かったので、トッド役のシェーン・ジェンセンは、「その声が僕の体から出ていても違和感がない」必要がありました。それだけでなく、演技の身体性も合わせなければならない。現場では、実際に僕や時にはカリがトッド役として立ち、インディと接します。そのとき僕が立ち上がったり、体を動かしたりするのは、犬の演技を引き出すためです。でも僕が実際に言っているのは「よしよし、ステイ、いい子だ」みたいな言葉。シェーンは、後からその動きにぴったり合う台詞を当て、なおかつ良い演技にしなければならない。それはシェーンにとっても、ヴェラ役のアリエル・フリードマンにとっても、本当に大きな挑戦でした。
Q.インディに演技させるうえで、特に難しかった場面、あるいは印象的な成功例はありましたか?
カリ:私たちのモットーは「作りながら見つけていく」でした。難しそうなことが簡単だったり、簡単そうなことがすごく難しかったり、その両方がありました。
ベン:カリが言う通りで、たとえば、大きなカメラワークがあって、インディがA地点からB、Cへと移動するような場面は、難しそうに見えます。でも実際には、非常に実用的な解決策がうまく機能し、何度も繰り返してうまくいきました。例えば、インディが家からガレージに入って行き止まりを見つけて別の地点に行くシーンでは、パンくずのように餌を並べインディが辿れるようするだけで、何度も完璧にできたんです。
カリ:私は別の部屋に隠れていました。
ベン:そう、カリが部屋に隠れて呼び、僕も別の場所に隠れて声をかける。インディは声と餌を頼りに動くだけでした。
カリ:彼は仕事を与えられるのが本当に好きで、パズルを解くような感覚や基本的なしつけ動作も楽しんでいました。6~7テイク撮りましたが、全部良かったです。
ベン:一方で、じっと座って視線だけをコントロールするクローズアップは、とても難しかった。人間俳優なら「少し左を見て」「上を向いて」と言えば済むことですが、インディにはその概念がありません。特に感情的なアップは大変でした。大きな移動ショットは1日で複数テイク使えることもありましたが、クローズアップは月曜に撮ってダメ、火曜もダメ、木曜に14テイク中1テイクだけ使える、ということもありました。時間と忍耐、たくさんのおやつ、さまざまな刺激を使って、最終的にあの演技を引き出しました。
Q.共同脚本家アレックス・キャノンとのコラボレーションは、物語やトーンにどう影響しましたか?
カリ:撮影中、計画通りにいかない日が本当に多かったです。事前に話し合って準備はしますが、うまくいかないこともある。そのときは適応するしかありません。でも、それは全く問題ありませんでした。ただ、臨機応変に対応するしかなかったんです。ベンは何度もアレックスに電話して、アレックスは最初から最後まで素晴らしいアイデアを披露してくれました。「このシーンは無理だ。別案を考えよう」と話していました。彼らはそれを“ホラー即興”と呼んで、うまくいくプランBを考え出さなければならなかったんです。
でも、インディはそれを実現できると。
ベン:インディは本当に大きなXファクターでした。脚本通りにできないことも多かったけれど、別のことはできる。じゃあ、それを物語に取り込めるか?という判断の連続でした。大枠のストーリーは変わりませんが、細部――動きや超自然の体験の仕方――は、常に試行錯誤していました。

Q. ホラーファンや動物好きを含め、観客にこの映画から何を持ち帰ってほしいですか?
ベン:この映画は、犬との関係についての証だと思います。とてもシンプルで、誰もが共感できる無条件の愛が描かれています。ホラー映画ですが、飼い主を守るために何でもする犬の物語でもある。観た人が自分の犬のことを思い出してくれたら嬉しいですね。
カリ:あなたがよく言うように、これはホラーだけど、犬にとっては別の物語ですよね。
ベン:そう。アレックスとよく言っているんですが、これは人間にとってはホラー映画でも、インディにとってはラブストーリーなんです。最初から、この犬はこの男と強く結ばれていて、彼を守るためなら何でもする。それはとても分かりやすい感情です。
『GOOD BOY/グッド・ボーイ』
7/10(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国順次公開
© 2025 Whats Wrong With Your Dog, LLC. All Rights Reserved.
