- 2026-4-3
- ENTERTAINMENT
- ポーランド暗黒SF
70年代末から80年代の社会主義体制時代のポーランドで製作された、ピョトル・シュルキン監督による暗黒SF4部作『ゴーレム』 『宇宙戦争 次の世紀』 『オビ・オバ 文明の終わり』 『ガガ 英雄たちに栄光あれ』が、 ポーランド暗黒SF≪文明の終焉4部作≫と題して、シアター・イメージフォーラムにて日本劇場初公開中。この度、4作品の日本オリジナル最新アザービジュアル(暗黒ビジュアル)と、暗黒社会映像が解禁された。

70年代末から80年代の社会主義体制時代のポーランドで製作された、ポーランド映画最大の秘密とも言える衝撃の暗黒SF4作品が、ポーランド暗黒SF≪文明の終焉48部作≫と題して2月21日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて日本劇場初公開、以降ほか全国順次で公開中。
上映されているのは、暗黒クローン人間SF『ゴーレム』(79)、暗黒異星人侵略SF 『宇宙戦争 次の世紀』(81)、 暗黒放射能SF『オビ・オバ 文明の終わり』(85)、 暗黒新惑星SF『ガガ 英雄たちに栄光あれ』(86)。戒厳令が敷かれた状況下、厳しい検閲を潜り抜けて生み出された驚異的な作品群である。監督は常にポーランド当局と衝突、目をつけられてきたディストピアSFの先駆者ピョトル・シュルキン。
強烈な風刺と超現実主義の極致ともいえる作風で腐敗した権力と官僚制のもとで生きる人間の悲惨な姿を映し、《全体主義からの脱出》というテーマを描く。当時、本国では一時上映禁止、シュルキンはヨーロッパ最大のSF・ファンタジー・ホラーの祭典ユーロコンの最優秀SF映画監督賞を受賞するも、作品は商業的にポーランド国外に知られることなく、監督は2018年に死亡。ほぼ全西側諸国の人々がその存在を知ることのなかった、おそるべき共産圏映画が日本初上陸を果たした。
まったく知られていないにもかかわらず、数多くの作品に出演したポーランドの名優マレク・ヴァルチェフスキが全暗黒4作に出演のほか、『シルバー・グローブ/銀の惑星』(87)等アンジェイ・ズラウスキー監督作品や『鉄の男』(81)等のアンジェイ・ワイダ監督作品の常連クリスティナ・ヤンダ、ハンガリーのメーサーロシュ・マールタ監督「日記3部作」のヤン・ノヴィツキ、ロマン・ポランスキー監督『水の中のナイフ』(62)で知られるレオン・ニェムチクなど名だたる東欧映画の重鎮たちが出演、特に『ガガ 英雄たちに栄光あれ』にはアンジェイ・ワイダ監督作に多数出演のほか『ブリキの太鼓』(79)や『愛と哀しみのボレロ』(81)等のポーランド映画界最大のスターの一人、ダニエル・オルブリフスキが主演していることは驚愕である。
今回、解禁となった日本オリジナルの最新アザービジュアル<暗黒ビジュアル>は、単に新しいデザインであるだけでなく1作品ごとのテーマにスポットライトを当て、我々の日常で陥りがちな暗黒面に注意喚起を促すものとなっている。さらに4作品個々のビジュアルとしては初となる(これまでの本ビジュアル、ティーザービジュアルは4作をまとめたものだったため)。管理・監視社会のなか、自分が何者なのかわからず苦悩する男の疑問を掲げた『ゴーレム』、いつの間にか地球を支配しつつある火星人の異様な存在感が際立ち、現実と報道の剥離を疑問視した『宇宙戦争 次の世紀』、絶望的な状況下で仮初の希望を布教され信じ込む人々の価値観に一石を投じる『オビ・オバ 文明の終わり』、そして偶像崇拝と偶像の失墜を一種の娯楽として祭り上げさせることで民衆の意識を一元化し思考停止を促す実態を訝しむ『ガガ 英雄たちに栄光あれ』。
2月21日(土)に日本初上陸を果たしてからも、日々変わりゆく世界情勢。劇中で描かれる「管理・監視社会」「情報操作」「個の無力化」「思考停止」「偶像崇拝」「慢心」といった、人類の哀れな失敗・失策の数々が、日増しに我々の身近なものに感じられる。ピョトル・シュルキン監督が約40年以上前から、当時のポーランド暗黒時代で感じ取り、反映させ創り上げたポーランド暗黒SF≪文明の終焉4部作≫。この4作品を鑑賞することで、現代の我々も大いなる学びを得て、暗黒だらけの現世から《次の世紀》に向けて照らす灯りとしたいところである。
併せて解禁となった暗黒社会映像は、4作品の中から、悪夢のような悲惨な社会、またそこから脱出を試みる者、そこで狼狽する者、慢心する者、思考停止する者たちの姿を抜粋。彼らの行き着く先に未来や希望はあるのか。答えは導き出せるのか。錯綜する世界を体現するかのようなプログレッシヴな音楽は、『宇宙戦争 次の世紀』で使用されているユゼフ・スクジェクによるもの。スクジェクは、ロックバンド・SBBのメンバーとしても知られており、『ゴーレム』『宇宙戦争 次の世紀』の音楽を担当しつつ、出演も果たしている。




●『ゴーレム』
(1979年/ポーランド映画/93分/1.66:1/原題:Golem/英題:Golem)
Golem, dir. Piotr Szulkin,1979,©WFDiF
監督:ピョトル・シュルキン 脚本:ピョトル・シュルキン、タデウシュ・ソボレフスキ
撮影:ジグムント・サモシウク 音楽:ジグムント・コニェチニー、ユゼフ・スクジェク
出演:マレク・ヴァルチェフスキ、クリスティナ・ヤンダ、ヨアンナ・ジュウコフスカ、アンナ・ヤラチュヴナ、ヤン・ノヴィツキ、ヴォイチェフ・プショニャク
男は殺人容疑で警察の取り調べを受けるが、犯罪の詳細どころか自分の人生さえ思い出せない。彼は狂人や錯乱した歯科医、殺人的な医師、そして鋳鉄製のオーブンの壁の中に人間の創造の秘密があると信じる科学者たちの世界に戻される。自分が何者なのか、人間とは何かを知ろうとする男の旅は、彼ら全員と交差することになる。人類進化のために作られる人造クローン人間の厳しい現実を描く暗黒クローン人間SF。
●『宇宙戦争 次の世紀』
(1981年/ポーランド映画/97分/1.66:1/原題:Wojna światów – następne stulecie/英題:The War of the Worlds:Next Century)
The War of the Worlds:Next Century, dir. Piotr Szulkin,1981, ©WFDiF
監督・脚本:ピョトル・シュルキン
撮影:ジグムント・サモシウク 音楽:イェジー・マクシミウク、ユゼフ・スクジェク
出演:ロマン・ヴィルヘルミ、クリスティナ・ヤンダ、マリウシュ・ドモホフスキ、イェジー・ストゥール、マレク・ヴァルチェフスキ
火星人が着陸したが、恐れることはなかった。少なくとも、テレビ司会の男は人々にそう伝えてきた。しかし、火星人が到着して間もなく、男のアパートは荒らされ、妻は誘拐された。毎晩のテレビの台本も変更された。男の目に映るものは、毎晩観客に語っていることともはや一致しない。火星人は男が信じていたほど善良なのか、それとも男は地球全体を危険にさらすもっと邪悪な陰謀に利用されているのか?火星人襲来の厳しい現実を描く暗黒異星人侵略SF。
●『オビ・オバ 文明の終わり』
(1985年/ポーランド映画/90分/1.66:1/原題:O-bi, O-ba. Koniec cywilizacji/英題:O-bi O-ba:The End of Civilization)
O-bi O-ba:The End of Civilization, dir. Piotr Szulkin,1984, ©WFDiF
監督・脚本:ピョトル・シュルキン
撮影:ヴィトルド・ソボツィンスキ 音楽:イェジー・サタノフスキ
出演:イェジー・ストゥール、クリスティナ・ヤンダ、カリーナ・イェンドルシク、マリウシュ・ドモホフスキ、マレク・ヴァルチェフスキ、ヤン・ノヴィツキ、レオン・ニェムチク
世界は核戦争で荒廃、惑星は凍りつき、放射線はドームの外に踏み出す者や物をすべて殺してしまう。男はアークとしてのみ知られる謎の宇宙船からの救出を待ちながら集まった人類の最後の生き残りたちを統制する。男は群衆の間を歩き回り、士気の低下を防ぎ、売春婦を口説き、反乱を鎮圧し、時には飢えた人々に食事を与えるなど、通常の日々の仕事をこなしている。しかしドームの真の邪悪な性質が明らかになるにつれ、男は人類を救う価値があるのか自問せざるを得なくなる。世界崩壊後の厳しい現実を描く暗黒放射能SF。
●『ガガ 英雄たちに栄光あれ』
(1986年/ポーランド映画/84分/1.66:1/原題:原題:Ga, Ga – Chwala bohaterom/英題:Ga Ga:Glory to the Heroes)
Ga Ga:Glory to the Heroes, dir. Piotr Szulkin,1985, ©WFDiF
監督・脚本:ピョトル・シュルキン
撮影:エドヴァルド・クウォシンスキ
出演:ダニエル・オルブリフスキ、イェジー・ストゥール、カタジナ・フィグラ、マリウシュ・ブノワ、ヘンリク・ビスタ、マレク・ヴァルチェフスキ、レオン・ニェムチク、ヤン・ノヴィツキ
男は巨大宇宙ステーションの囚人で、他の囚人同様、遠く離れた惑星の探査にボランティアとして参加させられる。オーストラリア458惑星に着陸すると、男は英雄として歓迎され、セックス、酒、暴力のすべてを満喫する。しかし、男は自由には高い代償が伴うことに気づく。それは、男の暴力的な生活が惑星の住民の楽しみのために生中継されることだった。男の脱出方法はあるのか? それとも、運命は決まっているのか。地球から脱出した先に待ち受ける厳しい現実を描く暗黒新惑星SF。
シアター・イメージフォーラムほか
日本初上陸・全国順次、統制ロードショー中
