映画『ボーはおそれている』ライムスター宇多丸、大島依提亜登壇!! 映画愛爆発のトークイベント開催

日本でスマッシュヒットを記録した『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』のアリ・アスター監督の最新作映画『ボーはおそれている』(2/16公開)。

主演は、本作でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされ、『ジョーカー』でアカデミー賞®主演男優賞を受賞!『ナポレオン』も全世界でオープニング興収1位を記録したホアキン・フェニックスが務め話題になっている本作。この度、『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』のアリ・アスター監督最新作『ボーはおそれている』とTBSラジオ「アフター6 ジャンクション2」のコラボ企画による試写会が1月31日(水)に都内劇場にて開催。上映後には同番組の月曜パートナーであるライムスター宇多丸と『ミッドサマー』に続き、本作の日本版ポスターや公式パンフレットのデザインを手がけているグラフィックデザイナーの大島依提亜によるトークセッションが行なわれた。

宇多丸は本作について「観終わって、ひとりで持って帰るにはどうしたらいいんだろう? というところがいっぱいある。要所、要所で笑いも起きるけど、“コメディ”と言いつつ、いわゆるコメディでもない。『おいおい、何考えてるんだ?』という感じの説明のしようのない映画」と、本作が唯一無二の作品であることを語る。

本作は、ホアキン・フェニックスが演じる極度の心配性の主人公・ボーの経験する様々な“恐怖”を描いているが、劇中で描かれる強烈なタイプの母親が家庭を支配するという構図は、自身もユダヤ系であるアリ・アスター監督が「非常にユダヤ的」と認めており、宇多丸がアリ・アスターにインタビューした際には、監督本人が「この映画を観て『よくわからない』と言う人も多いけど、ユダヤ系の人の中には『あるある!』と言う人も多い」と語っていたという。さらに宇多丸は、劇中で描かれる家族の離散の描写についても「それこそユダヤ的。パレスチナ問題のベースにもあるユダヤという民族がずっと負っている恒常的な“恐怖”――常に居場所がなくて、『怖い』と感じる部分が描かれている」とユダヤ民族の歴史を重ね合わせながら物語を分析する。

『ミッドサマー』に続いて、アリ・アスター作品の日本におけるデザインを担当、本日のイベントゲストとして登壇した大島は、物語の内容どころか、ジャンルすらもハッキリしない段階で、依頼を受けたと明かす。「今までの作品(『ヘレディタリー』『ミッドサマー』)も、ホラー作品ではあるけど、その中にコメディ要素があったりしたし、それがきっちり反転して、コメディの中にちょっとホラー要素があるように感じて、(過去作と)テイストは変わらないと思いました」と語り、宇多丸も「ある意味で同じ。ホラーとコメディは常に表裏一体で紙一重」とうなずく。

宇多丸は、本作の本国版のポスターが、子ども時代から老年に至るまでの各年代のボーの姿を配したデザインになっていることに触れ「一代記みたいになっていて、A24でさえ困っているなと思いました(笑)。アリ・アスターのインタビューに行ったら日本版のポスターが置いてあって、大島さんが手がけているとは知らず、このデザインと“ママ、きがへんになりそうです。”というコピーを見て『完璧だ! こういう映画ですよ!』と思いました。アレンジがお見事!」と大島の手による日本版のデザインを称賛する。

大島は「嬉しいです。アリ・アスター監督にも『カトゥーン(漫画)っぽいイメージがこの映画に合っている』と褒めてもらいました」と笑顔を見せつつ、デザインのアイディアについて「アリ・アスターには『ダリの絵画みたいにゆらゆらしている』という説明をしたんですが、これは初めて話すことですけど、実は漫画の『カイジ』にたまに出てくる絶望感を表した半泣き状態の絵を写真でできないかと思ったんです」と明かした。

ちなみに、日本版のポスターは、わざと全体を歪ませることでボーが困った表情になるようにデザインされており、宇多丸は「コミカルとは言わないまでも、漫画チックなデフォルメ感が出ていて、コピーを含めて絶妙に映画全体の雰囲気が表現されている。うなりました!」と絶賛。

観客との質疑応答では、本作におけるユニークなアニメーションの使い方が話題にのぼったが、このシーンは、デビュー作『オオカミの家』がアリ・アスターから絶賛され、その後、アリ・アスターが製作総指揮を務めた短編アニメーション作品『骨』を作ったチリ人の2人組クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャが手がけている。

大島は、このアニメの中で、暗転して景色が切り替わるシーンについて「アリ・アスターが『ミッドサマー』で来日したときに歌舞伎を鑑賞して、歌舞伎の舞台設定から思いついたらしいです」と明かし、さらに「アリ・アスターはすごく日本映画が好き。プロダクションデザインに関しても、小林正樹監督の『怪談』とかを見ると、そのまんま。ああいう感じのことをやりたいんだというのがわかります」と日本の映画や文化の影響が色濃く反映されていると指摘する。

また、本作における“笑い”に関して、宇多丸は「シュールなことを真顔でやるコントは日本にも昔からあったもので、日本人は慣れていると言えるので、難しく考えずに楽しんでほしい」と語り、大島も「野性爆弾のコントみたいな感じ(笑)。日本人と親和性が高いと思います」と日本人が楽しめる作品であると強調する。

さらにこの日のトークでは、ロマン・ポランスキー、マーティン・スコセッシ、スタンリー・キューブリック、リンゼイ・アンダーソン、ウェス・アンダーソンなど、本作を含め、アリ・アスターが強く影響を受けていると思われる映画作家たちの名前が上がったが、宇多丸はアリ・アスターにインタビューした際に、これらの監督の存在や影響を受けたと思われる作品について、直接質問をぶつけたとのこと。その内容は2月12日OAの「アフター6 ジャンクション2」で放送されることになっており「みなさん、お楽しみに!」とリスナーの期待を煽っていた。

最後に改めて宇多丸は「昔はこういう『これは何なんだ?』という感じの映画がよくありました。いまの時代、人々の好みが細分化しているので、そういう映画が出てくる余地が少なくなっているけど、こういう狐につままれたような映画は絶対に必要だと思います」と本作の魅力と意義を強く訴え、トークイベントは幕を閉じた。

来場者参加型ポップアップ展「#ワタシはおそれている展」が渋谷藝術にて開催

なお、『ボーはおそれている』公開に先駆けて2月9日(金)〜12日(月祝)まで、アリ・アスター監督これまでの作品『ミッドサマー』、『ボーはおそれている』の公式ポスターを手がける画家・ヒグチユウコ、そして本日のイベントゲストでもあるグラフィックデザイナー・大島依提亜によってこれまでに発表されたポスター展示のほか、「未体験の「恐れ」を味わう旅に出よう」という本イベントのテーマを元に来場者参加型ポップアップ展「#ワタシはおそれている展」が渋谷藝術にて開催される。

怪死した母の元へ駆けつける帰省が壮大な旅に変貌する。一度体験したら戻れない、オデッセイ・スリラー
『ヘレディタリー/継承』で映画ファンの注目を集め、『ミッドサマー』が全世界で大ヒットを記録するだけでなく、多くの観客に“消えない傷”を植え付けた天才監督アリ・アスターが、気鋭の映画スタジオA24と三度目のタッグを組んで世に放つ最新作がついに日本解禁。
日常のささいなことでも不安になる怖がりの男ボーはある日、さっきまで電話で話していた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。これは現実か? それとも妄想、悪夢なのか?次々に奇妙で予想外の出来事が起こる里帰りの道のりは、いつしかボーと世界を徹底的にのみこむ壮大な物語へと変貌していく。
主演は『ジョーカー』でオスカーに輝いた名優ホアキン・フェニックス。これまで様々な作品で怪演を見せてきた彼が極限の演技と表情を見せ、そのキャリアの到達点になった。実家にたどり着くのが先か? それともボーの人生が転覆し、永遠に壊れるのが先か? 衝撃や恐怖を遥かに凌駕する”永遠に忘れられないラスト”が待つオデッセイ・スリラー。スクリーンで一度体験したら、もう元には戻れない…。

★★★★★現代にはこんなレベルの映画を作れるフィルムメーカーはほとんどいない。ファーストカットは、最高にゾッとしたよ!
― マーティン・スコセッシ監督『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

★★★★★傑作だ!過去に観た中で一番圧倒された作品。
― ポン・ジュノ監督 『パラサイト 半地下の家族』

★★★★★驚異的な作品!アリ・アスターらしさ全開!ユーモアと悪夢が共存し、自由気ままな反面、緻密に描かれている傑作!
― ギレルモ・デル・トロ監督 『シェイプ・オブ・ウォーター』

★★★★★恐怖が永遠に続くのにめちゃくちゃ笑えるし、ボーに共感してしまう。この映画が大好き。本当に傑作だと思う!
― エマ・ストーン 『ラ・ラ・ランド』

『ボーはおそれている』
2024年2月16日(金)全国公開

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