トビー・マグワイア主演作『完全なるチェックメイト』エドワード・ズウィック監督インタビュー

25日公開のトビー・マグワイア主演作『完全なるチェックメイト』のエドワード・ズウィック監督のオフィシャルインタビューをご紹介!
©2014 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. Photo Credit: Tony Rivetti Jr.
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▲トビー・マグワイア(左)とエドワード・ズウィック監督。


映画『完全なるチェックメイト』は、1972年、米ソ冷戦時代にアイスランド・レイキャビクで開催されたチェスの世界王者決定戦のアメリカ代表ボビー・フィッシャーの物語。両国の威信をかけた‘知’の代理戦争として世界中の注目を集めていた、このタイトルを34年間保持してきたソ連への挑戦権を獲得したボビーは、IQ187を誇る天才で、15歳にして最年少グランドマスターとなった輝かしい経歴の持ち主ですが、その思考は突飛で、行動は制御不能。謙虚さのカケラもない自信家で、自分の主張が通らないと大事なゲームすら放棄するクセ者でした。そんな奇行の天才が相対するのは、最強の王者、ソ連のボリス・スパスキー。対局一局目、スパスキーに完敗するフィッシャー。残り二十三局、絶対不利と見られたフィッシャーは極限状態のなか、常軌を逸した戦略をうちたてる―。二大国家の大統領もフィクサーとして影で動いたと言われる、歴史を揺るがす世紀の一戦で生まれた、今尚語り継がれる<神の一手>の真実です。

Q:目指したのはどのようなことですか?
ズウィック監督:
非常に大きくて重要な歴史的瞬間を背景にした、とても個人的な物語を作ることだった。
Q:歴史的にも数奇な運命を辿るキャラクターですが、どうして彼の物語を描こうと決心されたのですか?
ズウィック監督:
公の物語と個人的な物語の両方を語るつもりだった。メディアを通して語られた、ある大きなイベント。そのイベントを管理する、あるグループ。そして、秘密にされたボビー・フィッシャーの非常に私的な体験。それらの要素をバランスよく絡み合わせることが重要だった。
Q:彼を動かしていたものとは何でしょう?
ズウィック監督:
彼は天才、神童だった。チェス競技で尊敬を集め、大いなる誇りと野心があった。だが、彼には子供時代に根差したある種の脆弱性があって、悪いことにそれはとても繊細でもろかった。それら2つのことが突出してせめぎ合い、彼を動かしていたのだと思う。
Q:歴史的背景を見事に描き出していますが、あの時代を再現するのは楽しかったですか?
ズウィック監督:
楽しかったよ。旧式フィルムを使って、昔のカメラで撮影した。当時のニュース映像を真似るのも面白かった。インタビューのいくつかは実際の言葉を使い、ディック・カヴェット本人に来てもらって、ボビーとのインタビューや映像をまとめる手助けをしてもらった。時代物は面白い。タイムカプセルに入るような特別の楽しみがあるんだ。
Q: 冷戦という歴史的背景はいかがでしょう。競技以上の駆け引きがあったのでは?
ズウィック監督:
そうだね。あれは、第二次戦略兵器制限交渉(SALT II)直前の時代だ。僕は60年代初期に育ったが、キューバ危機が起こり、僕たちは机の下にかがんで防御した。アメリカがソビエト連邦を差し迫った脅威と見なした時代だった。そんな時、我々はこのブルックリン出身の若い米国青年をソ連に対抗すべく送り込んだ。我々の心に響く素晴らしいドラマだよ。
©2014 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. Photo Credit: Tony Rivetti Jr.
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Q:トビーが素晴らしいです。彼はどういったタイプの俳優ですか?
ズウィック監督:
天賦の才能があるほかに、仕事に対してとても真剣だ。完璧にリサーチし、準備万端で、集中し、個々のシーンややってみたいことについて話し合うことができる。
Q: チェスの駆け引きが面白いです。この競技は小さなボードの上で起こるのに、サスペンスに満ちています。
ズウィック監督:
確かに。チェスはどのスポーツにも劣らないほどサスペンスに満ちている。素晴らしい選手がいる。精神の強さが問題だと偉大な選手は口を揃えて言う。彼らは才能を手足ではなく、知力で示す。2つの知性の闘いだ。
Q: 互いの心理戦が物を言う?
ズウィック監督:
その通り。「チェスは相手を支配することだ」とボビー・フィッシャーは言った。意志の勝利なんだ。
Q:この映画のあとに、彼の心に何が起こったのだと思いますか?
ズウィック監督:
彼はすでに落ち目だったし、それは避けられないことだと思う。診断の前だが、彼は確かに妄想性障害を患っていたと思う。
■ボビー・フィッシャー/Bobby Fischer(1943年3月9日 – 2008年1月17日)
アメリカ、シカゴ生まれ。チェスの世界チャンピオンになるも、あえてタイトルを放棄したり、事実上の国家反逆罪で国を負われ、長年にわたり世界を放浪するなど、その謎めいた行動で数奇な人生を送った人物としても有名。2000年代初頭には日本の蒲田でも生活していた。晩年はスパスキーとの世界戦をおこなったレイキャビクで余生を送る。2008年、奇しくもチェス盤の目の数と同じ64歳で死去。
『完全なるチェックメイト』
12月25日(金) TOHOシネマズ シャンテ他 全国順次ロードショー
配給:GAGA
公式サイト

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