レオス・カラックス 『ボーイ・ミーツ・ガール』4Kレストア版 本編冒頭映像&パンフレット対談一部が解禁

「神童」「恐るべき子供」「ゴダールの再来」と1984 年のカンヌを沸かせた22 歳のレオス・カラックス、長編デビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール』4K レストア版が1 月31 日(土)からユーロスペースほか全国にて劇場公開中。

この度、本編冒頭映像と映画パンフレットに掲載される俳優・井之脇海と映画監督・工藤梨穂による対
談の一部が解禁となった。

1984 年、『ボーイ・ミーツ・ガール』を引っ提げカンヌ国際映画祭に新星のごとく現れた22 歳のレオス・カラックス。「神童(ヴンダーキント)」「恐るべき子供(アンファン・テリブル)」「ゴダールの再来」と騒がれ、ヤング大賞を受賞。フランス映画界の新たな若き才能として歓迎された。

物語は、パリに住むアレックス(ドニ・ラヴァン)とミレーユ(ミレーユ・ペリエ)、失恋したふたりが偶然に出会い、一目惚れ、そして思わぬ悲劇が、コップの水が静かに溢れ出すような緊張感で語られていく。

普通の映画とはかなり異なった手探りの初々しい語り方、詩的で静かな独白的語り。物語の一こまというより記憶か夢の断片のように、モノクロームの世界は日常の光景を別の美しさに転じていく。どこまで現実でどこから幻想かわからない夢うつつの本作にふさわしいトーンで描かれる。

解禁された映画本編の冒頭映像は、カラックスが愛読するセリーヌ(1894-1961)の『なしくずしの死』の書き出しをゆっくりと読む子供のような、けれどしゃがれた不思議な声から始まる。「僕らはこうしてい
まも孤独だ」「何もかものろのろと重くあまりに悲しい」「じきに僕は年をとる」「そしてやがて待ちわびた… 終わりの時が来る」そして、夜のセーヌ川へ。子供を抱きかかえ車を走らせる女。割れたフロントガラスからスキー板が突き出ている。

「お別れを言いに来たの泣いて見せてもダメよ」と軽快な曲が流れる。フランスの作曲家・作詞家・歌手・映画監督・俳優と多才なカリスマ、セルジュ・ゲンズブール(1928-1991)の『手切れ』をジョー・ルメールが歌う。

セリーヌは、第二次世界大戦中に反ユダヤ主義の作品によって逮捕状が出され亡命生活を送ったフランスの作家。ゲンズブールもセリーヌも過激な作風で知られる音楽界と文学界の異端児だ。そして、レオス・カラックス、映画界の異端児の物語がここから始まる。

あわせて、1 月31 日の公開初日から上映劇場にて販売となる映画パンフレットに収録される対談の一部を公開。対談は、かねてよりカラックス作品に影響を受けてきたと語る俳優・井之脇海と、PFF スカラシップ作品『裸足で鳴らしてみせろ』で商業デビューし『オーガスト・マイ・ヘヴン』がベルリン国際映画祭に正式招待されるなど国内外から注目を浴びる映画監督・工藤梨穂によるもの。84 年の公開当時には生まれていなかった若い世代のふたりが、レオス・カラックスの出発点となった『ボーイ・ミーツ・ガール』とカラックス作品の魅力を深掘りする。

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対談「カラックス映画から受けとったもの」井之脇海(俳優)×工藤梨穂(映画監督) より
【工藤梨穂】カラックスの映画には車やバス、電車、駅というモチーフが繰り返し出てきますが、乗り物が出会いや別れの起点になっている気がします。『汚れた血』ではアレックスとリーズの別れのシーンが駅で、追ってきたリーズをホームに残したまま電車のドアがプシューっと閉まる。人が抗えない運命的なものとして、乗り物をすごく効果的に使っている。自分では運転せずに、いつも乗せられているんです。
【井之脇海】『ボーイ・ミーツ・ガール』ではパーティーの後でアレックスとミレーユがバスに乗っていると、後ろから来たバスの中に元彼が立っている。それでバスが走り出すとまた離れていく。
【工藤梨穂】あのシーンも断絶、出会いと別れを強調しているような気がします。外的な運動であることによって運命を感じさせる。それと「見る」「見られる」という関係もよく出てきますよね。それこそアレックスがずっとヒロインを見つめているというのは、3 部作で一貫している。そこには個人的な関係が反映されていて、カラックスとミレーユ、カラックスとビノシュ、監督と恋人と俳優の関係性が入り組んでいるのもカラックスらしいと思います。
【井之脇海】3作ともアレックスはカラックスの分身で、ヒロインが本当のパートナーですからね。『ボーイ・ミーツ・ガール』でアレックスがちょっと変な告白をするじゃないですか。元恋人と君と僕でいい関係を築けるみたいな。それってカラックスが映画でやっていることに近いですよね。ああいうセリフに勢いがあるのは、どこかにその実感があるからだと思うんです。映画を通して自分をさらけ出すのはすごく怖いことなのに、自分の分身を作ってまでそれを表現している。すごくエネルギーが必要なことをやっていると思います。
【工藤梨穂】そうですよね。観客からすると、作家に嘘がないからそこに惹かれるのかもしれない。個人的なことを作品に込めているからこそ響いてくるものがあるんだと思います。

『ボーイ・ミーツ・ガール』パンフレット販売価格1,100 円(税込)
映画評「夢を生きるとき」須藤健太郎(映画批評家)
対談「カラックス映画から受けとったもの」井之脇海(俳優)×工藤梨穂(映画監督)
エッセイ「アレックスはどこにいるのか?」大川景子(映画編集者)


『ボーイ・ミーツ・ガール』4K レストア版
ユーロスペースほか全国にて劇場公開中

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