- 2025-11-26
- ENTERTAINMENT
- マルドロール/腐敗
ベルギーで起きた少女拉致監禁・殺人事件を基にした深淵クライム・スリラー『マルドロール/腐敗』が、11月28日(金)より新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開される。

本作は、『変態村』(04)『地獄愛』(14)『依存魔』(19)の<ベルギーの闇3部作>で知られるファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督作。舞台となるのは1995年のベルギー。少女失踪事件の犯人を追うことになった主人公の憲兵隊ポールが、腐敗した警察組織の闇に直面し、真実を求めるあまり心身に異常をきたしていく様を緊迫感溢れるトーンで描いている。
ベルギーで実際に発生し、司法を揺るがす結果となった“デュトルー事件”を基にしており、ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督は本作のテーマについて「悪の本質と正義の探求を試みた。社会のトラウマに光を当て、悪に立ち向かう私たちの能力についてアプローチしたかった」と語っている。
第81回ヴェネツィア国際映画祭 公式セレクションに選出され、第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭の最優秀長編作品賞へのノミネートを果たしており、「緊迫感の高まり、一線を越えた道徳的ジレンマ、すべての観客を魅了する魅力的なスリラーとなっている」「ざらざらとした雰囲気が 70 年代のスリラー映画を彷彿とさせる」「じめじめとした心地よさと、叫び声のような哀愁」などと、ヴェルツ監督の持ち味である深淵な世界観と巧みな心理描写が高い評価を受けている。ポール役には、『La prière』(18/原題)で第68回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(男優賞)を受賞したことで世界的に知られたフランス若手実力派俳優であるアントニー・バジョン。脇を固めるのは、『変態村』『地獄愛』で主演をつとめたローラン・リュカ、そして『ベティ・ブルー』(86)、『屋敷女』(07)などで知られるベアトリス・ダル。
この度、本作をいち早く鑑賞した各界の著名人たちから、本作への推奨コメントが到着。ヴェルツ監督の過去作も鑑賞しているという白石和彌監督は「ベルギーの暗部を描き続ける大好きなファブリス・ドゥ・ベルツ監督の新境地。必見!」と、ノワール・スリラーへの取り組みを絶賛。また、作家の平山夢明氏は「これは現代の『セルピコ』だ!」と表現。そのほかノンフィンクション作家の石井光太氏、フリーアナウンサー・俳優の宇垣美里氏、ベルギーの司法を研究する南山大学大学院法務研究科教授の末道康之氏、映画ライターの高橋諭治氏、タレントのでか美ちゃん氏を含む計7名のコメントは以下の通り。
コメント一覧(五十音順・敬称略)
石井光太(ノンフィクション作家)
正義も悪も、行きつく先は既存の体制の破壊だ。
政治家にせよ、犯罪者にせよ、人は一度それらに憑りつかれると、体制だけでなく、ついには自分までをも破壊していくことになる。
本作は、正義に憑かれた若き憲兵隊と、悪に憑かれた犯罪者の破滅をスリリングかつ抒情的に描くと同時に、私たち誰もが同じ悲劇に陥る可能性があることを強烈に訴えてかけてくる。
宇垣美里(フリーアナウンサー・俳優)
悍ましい巨悪を前に怒りに震え、
腐敗した組織の理不尽に絶望し、
いつしか狂気に呑まれる彼は、
正常です。
私にはそう見えたから、
お願い世界よ、まやかしでもいい、
せめて正しくあろうとしてくれよ。
正義をまっすぐな眼差しのまま、
語れる場所であってくれ。
白石和彌(映画監督)
映画とは誰かの人生を覗き見することだとつくづく実感する。純朴な若者が挫折を味わう度に暴走する感情が、正義なのか悪なのかなんて誰にも決められない。スクリーンの中の主人公の選択をどこかで支持し、暴走する度に身体の中に湧き上がる快感は、まさに映画ならではの超醍醐味。ベルギーの暗部を描き続ける大好きなファブリス・ドゥ・ベルツ監督の新境地。必見!
末道康之(南山大学大学院法務研究科教授)
90年代の荒廃した都市シャルルロワを舞台に、少女拉致・監禁事件を追う憲兵が、腐敗した警察組織に追われながらも、孤独と復讐心を抱えて犯罪者に立ち向かう姿を描いた衝撃作。シチリア移民一家の恋人との幸せな結婚式から、森での壮絶な対決まで、主人公の光と闇の対比が胸を打つ。これは、21世紀のフィルム・ノワールである。
高橋諭治(映画ライター)
生々しい迫真性みなぎる警察ドラマが、パラノイア的な極限心理劇に変容していく展開が凄まじい。その果てに待ち受ける“負のカタルシス”の重さも尋常ではなく、『殺人の追憶』『ゾディアック』のような同ジャンルの傑作と比較したくなる骨太な実録犯罪スリラー
だ。
でか美ちゃん(タレント)
正義を貫く、何もかもを貫いていく。
ドス黒い闇の中、正しさを追い求めることを「暴走」と呼ぶのなら、
そんな人間のことを「異常」と指差すのなら、狂ってるのはとっくに世界の方だ。
主人公ポールの血走った眼光が突き刺さって抜けない。
平山夢明(作家)
命を賭けて愛してきた組織の許されざる腐敗を知った時、あなたは彼のように動けるか?
誇りを捨てることのできなかった愚か者の叫びが劇場を貫く!
これは現代の『セルピコ』だ!
また、公開を記念して、TERROR FACTORY とのタイアップ T シャツがオンラインと一部上映劇場にて発売が緊急決定した。これは、日本のポスタービジュアルを大変気に入ったヴェルツ監督が発した「Tシャツは作らないのか?」という問いに対し、応えるべく作られたもの。このTシャツのデザインにも、ヴェルツ監督は「非常にクールだ」と大満足。

■Tシャツ 3,500円(税込) サイズ:S、M、L、XL、XXL
・取り扱い劇場:新宿武蔵野館、テアトル梅田、アップリンク京都
『マルドロール/腐敗 』
11月28日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
©FRAKAS PRODUCTIONS – THE JOKERS FILMS – ONE EYED – RTBF – FRANCE 2 – 2024
